導入事例
2026.06.18
放課後学習
高等学校
共学
「学習メンターを信頼すること」が生徒の未来を拓く ―昭和第一学園高等学校が実践する学校の枠を超えた「チーム」での学習環境づくり―
生徒一人ひとりの多様な進路実現が求められる現代において、学校現場だけで全ての教育ニーズに応えることは容易ではなくなってきています。多くの学校が外部との連携を模索する中、外部人材を単なる「委託業者」として扱うのではなく、教員と共に生徒を支える「パートナー」として機能させるにはどうすればよいのでしょうか。
今回は、トモノカイの放課後学習支援プログラムを10年にわたり活用している昭和第一学園高等学校の飯塚先生にお話を伺いました。「外部人材の活用には、まず教員である私自身の意識変革が必要だった」と語る飯塚先生の言葉から、学校課題解決のヒントと、それを支えるトモノカイのプログラムディレクターや学習メンターの真価に迫ります。
生徒が高い目標に挑むために導入の背景と教育理念
―― まず、貴校の教育理念と、プログラム導入当時の課題感について教えてください。
本校は建学の精神として、常に一歩先んじて社会の第一線で活躍できる人材の育成を掲げています。生徒一人ひとりが夢や希望を持ち、目標達成に必要な学力を身につけ、自分の力で未来を切り開くことができる生徒像を目指しています。生徒が進路目標を立てる際、「少し頑張れば届くかな」という無難なものではなく、基本的には高い目標を設定し、それに向けて努力を重ねてほしいと考えています。
そうした高い目標に向かっていくためには、生徒自身の自力だけでなく、友人や担任、そして学習メンターといった他者の協力が必要不可欠です。そのような支援体制を通じて、高い目標に挑戦し、それを実現可能なものへと変えていける生徒を輩出したいという思いがあります。
実際に、大学受験を経験した学習メンターから話を聞くことで、志望大学が明確になったり挑戦するモチベーションが生まれたりする生徒もいます。
―― トモノカイの放課後学習支援プログラムは「進学支援センター」内でご活用いただいていますが、あらためて「進学支援センター」はどのような施設でしょうか。
「進学支援センター」は、2009年に設立された昭和第一学園高等学校独自の放課後学習施設です。160席近くある「自習ブース」や友達と一緒に自習できる「グループ学習ルーム」に加え、赤本、各教科の問題集や参考書、過去の外部模試や英検の過去問といった蔵書も豊富で、充実した学習環境が完備されています。
加えて、最大の特徴としてトモノカイの学習メンターによる「個別指導」があります。指導を希望する日時や科目、学習メンター名を所定の用紙に記入して提出することで、学習メンターの個別指導を予約制で受けられるようになっています。生徒自ら進んで予約をすることもあれば、クラスの担任教員からの依頼で進学支援センターの管理教員が生徒と面談し、その生徒に見合った学習メンターを推薦し、指導を受けるよう生徒に促すこともあります。進学支援センターの管理教員は、生徒の状況や担任教員の意向を学習メンターに伝え、学習メンターの指導の様子を担任教員に伝えます。管理教員はトモノカイのプログラムディレクターと密に連携し、学校や生徒の状況に合わせた学習メンターのアサインの調整をしています。
自主的に学習できる生徒はもちろん、そういった姿勢をより多くの生徒が身につけられるような仕組みや環境を整え、総合的な支援を行っているのが「進学支援センター」です。

信頼できるパートナーとしてのプログラム導入
―― トモノカイのプログラムを導入されて10年になりますが、どのような経緯で選ばれたのでしょうか。
以前は他社様のサービスを導入していて、チューター講師の質や数も充実していました。しかし、「生徒を支援するパートナー」として見たときに理想とは遠いと感じ、トモノカイさんに切り替えたという経緯があります。単に契約内容を履行できるかという点だけでなく、やはりパートナーとして信頼し合えるかどうかが重要でした。当時の校長や現場の考えと合致し、複数年契約を続ける中で、パートナーとして信頼し合えていると判断したことが、長く続いている理由だと理解しています。
学習メンターを信じて任せる「チームで戦い勝つ」
―― 学習メンターを学校現場でうまく機能させるために、どのようなことを意識されていますか?外部人材をうまく活用しきれていないといったケースも耳にします。
正直に申し上げますと、導入当初は教員側に壁がありました。担任というのは生徒の人生を預かる立場として、クラスの最終責任者として生徒指導を行っております。それゆえ、外部の力を借りることに対して抵抗を持つ担任も少なくありません。特に、進路相談については保護者の対応も関係することから、担任業務の中でも最も重要だと言えます。
実際に、進学支援センターの学習メンターにも、基本的には学習指導のみをお願いしています。それがいつしか、「学習メンターは教科指導さえ教えてくれればいい」という学習メンターの存在を軽んじるスタンスにつながっていたのかもしれません。
私も導入当時は担任をしていて、同じような考え方でした。しかし、私が進学支援センターの責任者になった際、信頼する仲間から「クラス運営をうまくいかせる秘訣は、教科担当を信頼することだ」と言われました。私はこれを学習メンターに置き換え、その存在を重んじることにしました。
まずは一人ひとりの学習メンターの顔と名前、教えられる教科を覚え、指導ルームに入って様子を見て、彼らを理解し信頼することを当たり前にしていきました。そうすることで学習メンターとの信頼関係がうまく作れるようになったと思います。学習メンターを信頼せずして、進学支援センターに来た生徒を(受験に)勝たせることは不可能です。
―― 実際に学習メンターの働きぶりをご覧になって、どのような点を評価されていますか?
導入当初から変わらないのは「生徒に対する熱意」です。かつて私と意見が対立した学習メンターもいましたが、それも生徒に対する愛情と仕事に対する熱意があったゆえのことでした。そして、指導力も相当高いです。
特に印象的だったのは、「トッププロジェクト」という企画です。企画の稼働1年目は、プロ講師をお呼びして授業をお願いしていました。その翌年も同じやり方を踏襲しようとしていた際、「外部からプロ講師をお呼びするのではなく、今来ている学習メンターの中から希望者を募って指導を任せてください」と学校にお願いをしました。結果、彼らの実力はベテランのプロ講師に勝るとも劣らぬもので、まさに「化け物」級の活躍でした。
今春卒業した生徒の事例も、彼らの働きが光った一例です。2年次の模試で偏差値が72.2と高い学力を持ちながら、進路選択に消極的だった生徒がいました。担任から「進学支援センターでアドバイスを」と依頼を受けた私は、本人との面談を経て、塾に通わず独学だった彼の伸びしろを見越し、学習メンターに「適切なタイミングで彼の意欲を高めてほしい」と託しました。すると、学習メンターは絶妙なタイミングで早稲田大学への挑戦を提案し、見事に本人のやる気を引き出してくれました。結果、生徒は早稲田大学に現役合格。担任の「学力を活かしてより高い目標を目指してほしい」という意向を進学支援センターがくみ取り、それを学習メンターへと繋いだことで成し得た成功例です。昔も今も、学習メンターがそれぞれ自主的に動いてくれた結果、実はこちらの要望に沿っていたという実例は、枚挙に暇がありません。
本校で学習メンターを活用して、大学に合格し、進学後トモノカイで学習メンターとして活躍する生徒も複数います。そのくらい生徒に影響を与える学習メンターがたくさんいるのが自慢です。

―― 学習メンターが主体的に動いてくれるのは心強いですね。一方で、教員の領域を侵してしまう懸念はありませんか?
ありません。そこがトモノカイの学習メンターの素晴らしいところです。前述の通り、進路指導は担任業務です。学習メンターは事前研修等で教員の立場や役割をよく理解してくれているので、その方面でのトラブルは一切ありません。生徒はそのような事情は知りませんから、普通にメンターに進路相談をすることもあります。その際には、進路の微妙なアドバイスが必要な場面では必ず事前に相談してくれます。時には学習メンターの意見を活用して担任の教員に報告・相談という形で伝達し、担任から感謝されるということもたくさんありました。安心して任せられる心強いパートナーです。
―― 学習メンターをさらに活かす秘訣やアドバイスがあればお願いします。
やはり「学習メンターを信頼すること」に尽きます。私はプロ野球の監督がポジションや打順を考えるような気持ちで、「この生徒にはこの学習メンターが合う」という「ベストフィットマッチング」を常に考えています。そのために、できるだけたくさん学習メンターと雑談をし、彼らの性格や強みを知るように心がけています。単なる外部スタッフとして突き放したり丸投げしたりするのではなく、「一緒にいい環境を創る」という思いを持って、チームの一員として信頼し期待をかける。そうすると彼らは期待以上の力を発揮してくれます。私が常に意識しているのは、「この素晴らしい学習メンターたちの力を活用して、生徒を勝たせる。勝ったときはお互い喜び合う」といったような、目標に向かって伴走する姿勢です。
また、進学支援センターの運営は私一人だけでなく、他の教員も携わっています。彼らも、リーダー格となる「管理メンター(※他校ではリーダーメンターと呼ばれてます)」とのコミュニケーションを大切にしています。本校では管理メンターを集めて定期的にミーティングを行っています。管理メンターには、よりよい指導ができる環境を作るために一般メンターから様々な意見を吸い上げてもらっています。そしてミーティングで吸い上げた意見を共有するという形をとっています。管理教員が、「管理メンターとのミーティングは大事な機会です。絶対に外せません。」と言っているのを聞いて、嬉しい気持ちになりました。
私が学習メンターや他の教員等とそれぞれ密にコミュニケーションを取れない時があっても、軸となる人物に想いを伝えれば、それがチーム全体に浸透します。チームで戦っている気持ちです。
―― プログラムディレクター(以下、PD)との連携についてはいかがでしょうか?
担当PDの方がスピーディーかつ柔軟に対応してくれて、本当に感謝しています。
例えば、私がふと思いついたアイデアを伝えると、彼らは必ず「いけますよ」「ヒントがありますよ」と具現化して提案してくれます。困ったときに相談しても同様です。正直に申し上げますと、これまで取り組んできた施策のすべてがいい結果だったとは言い切れません。しかし、その経験を糧にして、「じゃあ次はこうしましょう」と相互に意見や提案を出し合いながら、バージョンアップを重ねています。
私たちは仲間です。そうやって共に試行錯誤しながら経験値を積み重ねていくことで、中長期的に見たときに、学校独自のよりよい学びの環境が作れるようになります。これが、PDを信じて連携することの最大の強みだと考えます。

今後の展望―「対面」と「オンライン」のハイブリッドで進化する学習支援
―― 最後に、今後の展望についてお聞かせください。
今の時代に見合った、新しい進学支援センターの在り方が必要だと考えています。具体的には、対面指導とオンライン指導のハイブリッド型の進学支援センターを作りたいと思っています。ポータルサイトを構築して、部活動で遅くなった生徒も自宅からオンラインで指導を受けられたり、メールやSNSを活用した質問箱の設置など、いちばんの武器である学習メンターの価値を時間や場所にとらわれず生徒に届けられるようにしたいですね。
少子化で生徒獲得競争が激化する中、現状維持のままでは生き残れません。本校独自の、他校が真似できないようなオリジナルの学習支援体制を、トモノカイさんと共に作り上げていきたいと考えています。
昭和第一学園高等学校の事例からは、放課後学習支援を成功させる鍵が「外部への丸投げ」ではなく、「教員も主体的にプログラム活用に取り組むこと」「教員と外部人材が協力関係や信頼関係を構築すること」にあることが分かります。クラス担任や教科担当と連携しながら、プログラムディレクターや学習メンターと共にチームとして生徒に向き合うことで、生徒の可能性を最大化する環境が生まれていました。
トモノカイの提供するカスタマイズ性と人材の質は、学校の「こうありたい」という理想を実現する強力なエンジンとなり得るでしょう。
