「授業」と「家庭学習」をつなぐ『放課後学習支援』というハブ ― 湘南白百合学園中高の生徒が自ら選択し活用できる学習機会とは ― | 株式会社トモノカイ

導入事例

「授業」と「家庭学習」をつなぐ『放課後学習支援』というハブ ― 湘南白百合学園中高の生徒が自ら選択し活用できる学習機会とは ―

少子化や大学入試改革、そして予測困難な社会の到来。私立学校は今、自校の存在意義を問い直し、建学の精神や伝統を大切にしながらも未来を見据えた教育改革を迫られています。

今回は、建学の精神「愛ある人として」を教育の指針の元、「論理的思考力」と「創造力」を育てたい力とし、先進的な教育改革に取り組む湘南白百合学園中学・高等学校の岩瀬校長先生にお話を伺いました。同校は「グローバル教育」や「探究学習」といった特色ある正課プログラムを充実させる一方で、教員の多忙化や生徒一人ひとりの学力伸長といった課題に直面していました。その解決策の一つとして選んだのが、外部パートナーとの連携による「放課後学習環境の再設計」です。

なぜ、同校は新たな取り組みを必要としたのか。その背景にある教育理念や課題意識、そして導入後の生徒や学校の変化とは。教育改革のヒントがここにあります。

なぜ放課後に目を向けたのか 特色ある教育を支えるためのもう一つの柱が必要だった理由

―― まず、貴校が大切にされている教育理念や、改革に取り組む前に抱えていた課題についてお聞かせください。

湘南白百合学園中学・高等学校の建学の精神は「愛ある人として」で、これは私たちのすべての教育活動につながる根幹です。これを現代の言葉で表すならば、「論理的思考力」と「創造力」を育むことだと考えています。

「論理的思考力」は、グローバル化が進み、多様な文化を持つ人々と協働していく上で不可欠な力です。また、AIが社会に浸透していく時代においても、物事の本質を捉え、筋道を立てて考える力は絶対に必要になります。
もう一つの「創造力」は、イマジネーションではなく、新しい価値を「創造する」力のことです。将来何が起こるか分からない時代、特に日本の経済的な立ち位置が変化していく中で、今ある環境から新しい価値を生み出す柔軟な発想が求められます。
この二つの力に、困難を乗り越える「レジリエンス(しなやかさ)」が加わることで、どんな時代でも生き抜いていける「問題解決能力」が育つと信じています。この考えは、年度当初に教員たちに共有し、日々の授業設計の指針にもなっています。

こういった教育理念実現のために力を入れている「探究学習」や「グローバル教育」は、本校の教育の大きな柱です。探究学習では、中学1年生から高校2年生まで段階的に学びを深めます。中学生のうちに仮説検証や発表の基礎を学び、大学と連携しながら本格的な研究も経験します。グローバル教育では、各学年でアウトプットを重視したプログラムを用意しており、例えば中学生は英語劇やスピーチコンテスト、イングリッシュキャンプ、高校1年生ではマルタ共和国や アメリカサンディエゴ、次年度からは台湾やスリランカなどへの海外研修に挑戦します。大切なのは、英語が得意かどうかに関わらず、とにかく自分の考えを表現する経験を積ませることです。

しかし、まさにそこが今回の取り組みの出発点です。特色あるプログラムを数多く実施するということは、それだけ教員が準備に時間を要し、多忙になるという側面があります。また、正課の活動だけでは、生徒一人ひとりの学力、特に基礎学力を十分に伸ばしきれないのではないか、という課題意識もありました。私たちは、生徒がより多くの選択肢を持てるよう学力を向上させる必要性を感じつつ、それを「やらされ感」のある補習ではなく、生徒が「自ら選択する」学習機会として提供したかったのです。



目指したのは「補習室」ではない 生徒が“自ら選ぶ”選択肢として設計された新たな学びの場

―― そうした課題意識から「放課後学習支援プログラム」の導入に至ったのですね。生徒たちが「自ら選択する」学習機会として、どのような目的や設計思想で始められたのでしょうか。

正直に言うと、導入当初は私自身、費用対効果や、失礼ながら大学生の学習メンターをどこまで信頼してよいのか、という懸念もありました。しかし、私たちが目指したのは、成績が振るわない生徒を送り込むような場所ではありません。そうではなく、生徒たちが自分の学習スタイルの一つとして、主体的に活用できる選択肢にしたかったのです。

そのために重要なのが、教員とは異なる立場の学習メンターの存在です。生徒たちにとって、先生に質問に行くのは少しハードルが高いこともあります。しかし、少し年上のお姉さんのようなメンターには、素直に「ここが分からない」と聞けることもあるようです。単なる自習室ではなく、いつでも気軽に相談でき、ロールモデルとなる大学生と触れ合える環境そのものに価値があると考えています。

放課後の風景が一変 学習習慣の定着を支える教員と外部パートナーの密な連携

―― 実際にプログラムを導入されて、生徒たちや学校の雰囲気にはどのような変化が見られましたか。

放課後の風景は大きく変わりましたね。学習メンターを信頼して自習室に通う生徒たちの学習習慣が定着してきました。特に、中学のうちから利用している生徒は、高校生になって志望理由書や小論文に取り組む際も、まったく抵抗なく学習メンターに相談に行っています。6年間という時間軸の中で、学びのサポート体制が自然な形で根付いてきたと感じます。

こうした変化の背景には、本校の教員とトモノカイのPD(プログラムディレクター)との密な連携があります。学年の担当教員と定期的に打ち合わせを行い、「授業で扱ったこの単元を放課後にもう一度フォローしてほしい」といった授業連携や、多様なテーマに触れる探究講座などを一緒に作り上げてきました。

また、客観的なデータ分析と、それに基づくご提案には非常に助けられています。正直なところ、現場の教員は日々の業務に追われ、手元にある成績データを十分に分析しきれないことがあります。そのときは、トモノカイに客観的に分析していただき、「この学力層の生徒たちが、この時期に数学を苦手になっている傾向があります」といった具体的な指摘をいただくことで、私たちも課題を明確に認識することができます。そのデータがあったからこそ、「学年の中間層を底上げしよう」という具体的な目標を全教員で共有することができたのです。

合格実績のその先へ 生徒一人ひとりの夢を実現し社会に貢献する力を育むために

―― 最後に、今後の学校全体の展望と、放課後学習支援プログラムに期待することをお聞かせください。

学校として目指すのは、特定の大学への合格実績ばかりを追求することではありません。生徒一人ひとりが「看護師になりたい」「獣医師になりたい」といった夢を見つけ、その実現に向けて努力することを最大限尊重し、その道に進むために必要な学力をしっかりと身に付けさせたいと考えています。そして自分だけでなく、社会にどう貢献できるかを考えられる人に育ってほしいと願っています。

その上で、放課後学習支援プログラムには、正課の授業と、その先の家庭学習とをシームレスにつなぐハブ(拠点)としての役割を期待しています。授業で分からなかったことを解消し、家庭での学習習慣を確立する。そのサイクルをサポートしていただきたいのです。これからもデータに基づいた客観的な視点で私たちの課題を指摘していただきながら、教員たちが「困ったら自習室を活用してみよう」と自然に思えるような、信頼できるパートナーであり続けてほしいですね。



大切にしてきた建学の精神をどうすれば今の生徒たちに届けられるか。湘南白百合学園の取り組みは、その問いに対する一つの実践例と言えるでしょう。

特色ある教育という挑戦と、それに伴う「教員の多忙化」や「個別サポート」という現実的な課題。その両方から目をそらさず、外部との連携によって乗り越えようとしたのです。その結果生まれたのが、「やらされ感」なく生徒が自らの意思で集う放課後の学習環境でした。

トモノカイは今後も学校様のパートナーとして、『学校課題の解決』と『生徒様の学びの主体性向上』を目指してまいります。

(取材日:2025年7月28日)

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